schola vol.1 J.S. Bach Ryuichi Sakamoto selection

commmons: schola vol.1 J.S. Bach Ryuichi Sakamoto selection

commmons: schola vol.1 J.S. Bach Ryuichi Sakamoto selection


坂本龍一が総合監修したSCHOLAというシリーズで、CDとセットになってます。
ネットの発達で音楽が並列化されてしまってる現状から、凄い曲や演奏を紹介して「平均値」をレベルアップしてやろう。というコンセプトっぽいです。

で、第1弾がバッハ特集。大バッハ
浅田彰小沼純一らとともに、CDに収録された曲についてあーだこーだ喋ってるのを本にした感じで、読むのは難しくはありませんでした。音楽的な話もあるんですが、それよりも坂本龍一が小学生の頃に聴いた時の記憶や、不眠気味の王様から依頼されたとかいう当時の話などを読みながらCDを聴くと視点が変わっていいです。

こういう企画はネット上でやった方がやりやすいのではないかと思うのですが、本にすることに意味があるのかも知れません。


トラックリストを見てもわかる通り、収録曲に関しては、作品番号140番とかなり初期の作品から、作曲途中で失明しちゃった1080番まで、まんべんなく収録されてます。
単に収録しただけじゃなくて、名演奏と言われてるものを選んでる。
GLENN GOULDなんかは有名ですね。この人はジャズも演ったりする。

あと有名なのはKARL RICHTER。YouTubeにいくつかありますけど凄いす。

ドゥワップというかスキャットで歌ったものや、バッハの時代には既に古いといわれていたヴィオールという楽器で弾いたレア音源も収録されてます。

無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」ではバイオリン一つで二つの音を同時に弾いてます。そんなことができるんですね。えげつな。


本にはその鼎談の他、小説などのいろんな本の中からバッハに関する部分をいろいろ引用してます。シュヴァイツアーやニーチェ村上春樹伊福部昭ロマン・ロランなどなど、これもけっこう面白い。どういう文脈でバッハがでてくるのかはっきりとわからないんですが、それぞれのバッハ観というものが読めます。

バッハはクラシックの作曲家のなかでもとても特別視される存在なのですが、今に繋がる音楽的な理論を築いた人なんですよ。たぶん。
でも話によると、けっこう適当な部分とかもあったりするらしいです。まあでも音楽ってそんなもんじゃん?魅力とはそういう理論とはまた違うところにあるわけです。
メタルな人もバッハを速弾きする人が多いし、歌謡曲でも裏メロなんかを考える場合は対位法を基礎として考えたりするわけで、そういう意味でも今の音楽の元になった人といえるんじゃないでしょうか。音楽の父って言われてますから。


私とバッハの初めての出会いとなると音楽の授業ってことになるんですが、バッハのカバーで最初に衝撃を受けたのは、KEITH EMERSONがEL&P結成前にやってたTHE NICEってバンドの"Rondo"って曲かな。カバーではないんですけどモチーフが使われてました。

この曲はEL&P時代でもライブでよく演ってました。その後もEMERSONが「幻魔大戦」のサントラを作った時もバッハの曲をモチーフになんかやってました。

幻魔大戦 [DVD]

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そういえば、エヴァンゲリオンにもバッハの「G線上のアリア」が使われてましたな。


今はシンセサイザーなんて当たり前の様に使われてますが、MOOGシンセのレコードを最初にヒットさせたのもバッハです。

Switched on Bach

Switched on Bach

これでデビューしたWENDY CARLOSは、その後「時計仕掛けのオレンジ」や「トロン」のサントラをやったりしてます。

トロン [DVD]

トロン [DVD]

来週FLAKE RECORDSからリリースされるTHIEVES LIKE USのビデオクリップにTRONが使われてます。

PLAY MUSIC

PLAY MUSIC

ちなみに、ディズニーで現在製作中の「TRON 2.0」はDAFT PUNKがサントラ担当だそうで、それはそれで楽しみですね。
http://www.slashfilm.com/2009/03/04/daft-punk-scoring-the-new-tron/